人と猫の最後の旅の話 有川浩「猫旅リポート」

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さあ、行こう。サトルのルームメイトとして申し分ない猫だった僕は、サトルの旅の道連れとしても申し分ないはずだ。

大きく分けて、この世の中には猫派と犬派があると思うけど、「ペットとして飼う」となるとそれなりの覚悟が必要になるわよね。

  • 想像以上にかかるお金
  • 想像以上に手間のかかる躾
  • 想像以上に削られるプライベート

そして

  • どんなに愛情を注いでも、先にいなくなってしまう可能性が高いこと

猫

北大路欣也、泉谷しげる、志賀廣太郎というクセの強いメンバーでドラマ化された「三匹のおっさん」シリーズの有川浩の作品、「猫旅リポート」は一度でもペットを飼った事がある人の心にグサグサくるお話よ。


この作品に登場する主人公「サトル」は家の近くにいる野良猫がお気に入り。
車にはねられ大怪我を負ったその猫を看病した事がきっかけで一緒に住み始めてからのお話。

「元」野良猫は「ナナ」という名を貰ったが、ある事情で一緒に暮らせなくなり、新しい飼い主とお見合いをする旅に出るというストーリーなのだけど、その「ある事情」というのは早い段階で想像がついてしまうわ。それでも中だるみせずに一気に読み込ませる力はさすが。

シリアスすぎず、間あいだにコミカルなシーンが入る事で緩急つけての展開になるのだけど、ヒトの話も、動物の話も涙腺が緩みっぱなしになっちゃったわよ…!


飼い主候補はサトルの小学校、中学校、高校(大学)それぞれの時の友人。その友人達に会うごとに語られるサトルとの昔話。ナナとの旅が終盤に近づくに連れて迫力を増す情景描写。

それまでの旅で一緒に見た風景を覚えていられる。

こんな幸せなことって他にあるかい?

私もこの歳になってわかってきたことがあるんだけど、一番大事なものって、「記憶・思い出」なのね。
優しい思い出は、幸せな思い出は、年老いた時にきっと心の支えになる。
災害の時に失って一番つらいものは写真だと聞くけど、それもよくわかる話よ。

僕らは旅の思い出を数えながら、次の旅へと向かうんだ。

この作品は絵本、というか児童書にもなっているけれど、わかるわ。小学生~中学生くらいのおこちゃまにもぜひ見て頂きたい。この本は子供の情操教育にもってこいだと思う。

今度この作品を福士蒼汰主演で映画化するらしいけど、ちょっと楽しみよ。
志村動物園で犬と触れ合っている姿が本当に好きなんだな、と思えたから。でも、できたら後5年後位の彼のほうがよかった・・・かしら?だって、志村動物園の彼が可愛い過ぎたんだもの。


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